想い
雪国の暮らしは、ただ過酷なだけではありません。
そこには、自然と折り合いをつけながら生き抜いてきた、
人間のしなやかで強い知恵と美しさがあります。
ここ新潟県十日町市は縄文時代から人が住み継いできた土地。
火焔型土器や遺跡がその歴史を物語っています。
しかし昨今の人口減少とともに、
このかけがえのない文化と営みが静かに消えつつあります。
この地で積み重ねられてきた雪国としての
「生きる工夫」と「暮らしの美」を残していきたい。
そんな想いから、空き家となっていた築150年の古民家を改修し、
「雪の家」として蘇らせました。

よくあるホテルではありません。
かつて人が暮らし、笑い声が響いていた家。
長く空き家となっていたその場所に、私たちは再び「明かり」を灯しました。
ただの照明ではありません。
それは、人の営みの再生であり、地域の未来への希望の灯です。
「宿」としてこの家をひらくことで、雪国の暮らしの記憶を受け継ぎ、
訪れる人が新たな物語を紡ぐ場としました。
朽ちゆく家に明かりを灯すことは、地域にもう一度、命を吹き込むこと。
この灯が、また誰かの心をあたため、次の一歩を照らすことを願っています。

私たちが目指すのは、進化し続ける明るい未来の雪国です。
この宿には、かつて家族の笑い声が響いていたリビング、ぬくもりある土間、
昔ながらの雁木、そして柔らかな光に包まれた空間が残っています。
新しくしすぎず、でも今の暮らしに寄り添うように整えたキッチンや水まわり。
ここで過ごす時間が、訪れる人に「雪国って、こんなにあたたかいんだ」。
そう思ってもらえるきっかけになればと願っています。
過去を未来へ、静かに、でも確かにつないでいく。
この場所から、「進化し続ける、明るい未来の雪国」が始まっています。

雪国で暮らすような旅を。
地元の方と一緒に笹団子を包み、春の山菜を摘み、心づくしの田舎料理を作ります。
棚田を歩き、四季折々の風景を肌で感じ、朝には手づくりのごはんで一日をはじめる。
体験を通して、地域の方とのあたたかい交流が生まれ、訪れる人もまたこの地に心を残す——
そんな体験を通して、雪国の魅力を次世代へとつないでいきたい。
ここでの体験ひとつひとつが、雪国の命の証。
「雪の家」は、次の100年にこの土地をつなぐ、ささやかな希望です。
